共同住居であるマンションは、たとえ持ち家であったとしても個人の判断だけでは開業できず、いくつかのステップが必要です。
これからマンションでエステサロン開業を目指す方へ。
未然にトラブルを防ぐために、認識しておきたいポイントをお伝えいたします。
ご参考になりましたら幸いです。
大家さんや管理会社、管理組合に事前に相談し、適切な許可を得る
自宅や賃借したマンションで運営しているエステサロンのこと。
賃借すれば好きな場所で開業することができ、テナントと比較しても費用を抑えられるので、個人サロンや初めての開業の際に重宝されています。
マンションエステを開業するためにはいくつか条件があり、マンションの種類によって開業の可不可が異なります。まずはマンションの種類から解説いたします。
種類 | 詳細 | 開業 |
---|---|---|
賃貸マンション |
貸し出して賃料をもらうことを目的として建築された物件。一棟まるごと同じ所有者であることが多く、住居専用の場合がほとんどです。 契約内容やオーナーの許可を得られれば開業できる場合もあります。 |
基本的にNG |
SOHO賃貸マンション |
Small Office/Home Officeの略 住居用・事務所利用と選べ、小さなオフィスや自宅兼仕事場とすることができます。 サロン向きの内装にこだわったデザイナーズ物件も多く存在しますが、看板や表札を出したり、法人登記できないこともあります。 住居として利用している人もいることから、不特定多数の人の出入りがある業種(飲食や物販など)は他の入居者に迷惑がかかる恐れがあるため利用を認められない場合もあります。 「店舗利用可能」「エステ・ネイル可能」などの表記がされていることもあるので、これらの物件を探すのが効率的です。 |
可能 |
分譲マンション |
一棟のマンションを一戸ごとに分割して販売され、それぞれ所有者が異なります。
などを理由に、賃貸に出されていることもあります。 ②は契約期間が決まっている「定期借家契約」の場合があり、満期を迎えると退去しなければなりません。 |
基本的にNG |
未経験の方、必見!
万全サポートで、スキル習得から開業まで頼れるエステスクールはこちら
厚生労働省の調査によると、平成17年度の時点でも、美容業の経営主体の67.7%は個人経営という結果だったようです。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/14-02.html
副業が解禁し始めたことでさらなる増加が見込まれ、初期投資を抑えられるマンションエステの普及も予想されます。
扶養の範囲で開業する主婦やスタッフ1人の個人サロンの開業においても、広いスペースや部屋数を必要としないので、最低限の設備が整っているマンションは人気です。
とはいえ、マンションは基本的には住居用。店舗利用できる物件は少なく、条件にあった物件を見つけるのに苦労するどころか、見つけてもすぐに埋まってしまう傾向にあるようです。
そのような背景もあってか、管理会社や大家さんに告げずに運営しているサロンの話題もよく耳にします。特に分譲マンションでは管理規約により開業することが難しいケースが多く、「友人や紹介者のみ」と顧客を限定したり、住所を公にしないなどの工夫をしていても、SNSや近隣の人からの情報で漏れてトラブルに発展してしまうことがあるようです。
営利を目的とした同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行していれば「事業」とみなされます。
「事業」とは、「同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行すること」をいいます。
多くの人が共同で生活するマンションでは、迷惑をかけていないと思っていてもエレベーターや廊下などの共有部分は必ず使用しますし、セキュリティや匂い、騒音など、トラブルの要因も少なくありません。
規約違反が明るみになれば、営業停止。最悪の場合、退去を求められる場合もあります。
余計な心配を抱え込まず、他人に迷惑をかけず、気持ちよくスタートさせるためにも、適切に許可を得て営業するのが得策です。
個人事業の開業届出・廃業届出等手続 | 開業より1ヶ月以内に、住所地またはサロンがある土地の所轄する税務署長に提出します。 |
---|---|
所得税の青色申告承認申請手続 | 青色申告を希望する場合は、「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」と合わせて住所地またはサロンがある土地の所轄する税務署長に提出します。 |
賃貸マンションの場合 |
(1)大家さんへの許可取り (2)管理会社への許可取り (3)所轄の消防署へ相談 ①防火対象物使用開始の届け出 ②防火対象物工事等計画届出 (4)建築基準法の確認 |
分譲マンションの場合 |
(1)管理組合への許可取り (2)所轄の消防署へ相談 ①防火対象物使用開始の届け出 ②防火対象物工事等計画届出 (3)建築基準法の確認 |
店舗は不特定多数の人が利用するため、火災が発生すると大きな被害が出ると想定される施設に区分されます。避難時の経路やレイアウトなど基準を満たしているかどうかのチェックが必要です。
不明な場合は、各自治体に問い合わせましょう。
区分 | 詳細 | 資金 |
---|---|---|
エステ備品 |
エステ用ベッド お客様用ローブ・タオル・シーツ 化粧品 オイル カルテ 事務用品 制服(エステ技) 消耗品 メニューに必要な備品 |
数万円〜数十万円 |
美容機器 | エステ用機器・ホットキャビ・スチーム | 数万円〜数百万円 |
インテリア |
家具(ソファー・テーブル・照明) 家電(冷蔵庫・パソコン・携帯・音楽機器) |
数十万円〜 |
物件 |
敷金(家賃1ヶ月分程度) 礼金(家賃1〜2ヶ月分程度) 前家賃(家賃1〜2ヶ月分) 仲介手数料(家賃0.5〜1ヶ月分) 各種保険料(火災保険など1.5〜2万円程度) 保証料(家賃10ヶ月分程度※家賃滞納時などに使用される) |
数十万円〜数百万円 (※自宅マンションの場合は不要) |
広告宣伝ツール |
ホームページ ちらし 名刺 看板 リーフレット メニュー表 |
数万円〜数十万円 |
運転資金 | 半年分の固定費や広告宣伝費 | 数十万円〜数百万円 |
自宅マンションか賃貸かで必要資金は大きく変わります。
賃貸の場合は百万単位で資金が必要です。
自己資金が足りない場合は、助成金や補助金、融資を検討しましょう。
エステ開業時に活用できる助成金・補助金について詳しくはこちらから>>>
エステ開業に伴い、融資を検討している方は下記をチェック>>>
マンションエステ開業の判断に迷ったら!
詳しい情報を得て、最適な決断を詳細はこちら
賃貸する場合は、ターゲットの動向を意識したアクセスしやすい立地を選びましょう。
など、物件以外の地域の様子もチェックします。
数字だけでは見えない部分もあるので、気になる物件を見つけたら実際に足を運び、時間帯や曜日でどのような人が多いのか調査しておくと街の雰囲気もつかめるでしょう。
エステ開業、物件選びで失敗しない方法について詳しくはこちらから>>>
マンションでは、内装を変えるのにも大家さんや管理組合の許可が必要で、間取りなどの大幅な変更はできないこともあります。
個人サロンで重宝されやすい1Rマンションを例にあげると、玄関を入ってキッチンや洗濯機置き場があったりと生活感が見えやすいのが懸念点。高額メニューを想定しているサロンでは空間の演出も重要で、サロンとしての価値を上げづらいかもしれません。
また、住居用と店舗用では「建物基準法」や「消防法」が異なります。
美容所登録を検討している方も、広さや設備などの条件を満たしていなければなりません。
一般的に、賃貸における住居契約は非課税。事務所や店舗契約になると課税対象になります。
住居兼事務所(または店舗)の場合は、住居用と事業用との面積比で按分し、住居として借りている部分のみが非課税で、事務所部分は課税対象です。
隠れて営業していると、規約だけでなく脱税行為にもつながりかねません。(※賃貸借契約違反・消費税法違反)
持ち家であれば、住居スペースに応じて固定資産税の税率が変動する場合があります。
賃貸、分譲問わず住居用が多く、開業できる物件の選択肢が少ないのが現状です。
SOHO物件であっても、不特定多数の出入りが想定されるエステは許可が降りないケースも多いようで、理想の物件に巡り合うのに手間取るかもしれません。
など、事業計画などを開示したりして、大家さんや管理会社、他の入居者に対して、安全に運営していけるという理解を得るための努力が必要になるでしょう。
たとえ立地が良くても、マンションでは大々的に宣伝できないのが一般的。
開業後、認知してもらうためには工夫が必要です。
店舗利用が認められても看板はもちろん、表札すら出せない場合もあります。
セキュリティ面への配慮から、宣伝の際にサロンの所在地を記載できないこともあるでしょう。
何が許されていて、何ができないのか。事前のすり合わせが必須です。
近年は、インターネットやSNSなどさまざまな宣伝ツールがあるのに加えて、マンションエステも増えてきています。打ち出し方次第では、プライベートサロンとしてうまく演出することもできますが、デメリットを覆せるだけのあなたのサロンにしかない「売り」の構築は欠かせません。
賃貸マンションは壁が薄いことも多く、施術中の会話や音楽、美容機器の音による騒音、アロマやネイルの匂い、看板の設置などが原因でトラブルに発展しやすいようです。
無用なトラブルを避けるため、回避策を練っておきましょう。
理想の物件が見つからない。自宅マンションで許可がおりなかったという方も、開業する手段はいくつもあります。
中古物件を安く購入してリノベーションするというのもひとつ。
持ち家であれば固定費がかからず、開業資金、運転資金ともに抑えられるので最もリスクが少ない方法。
住居兼用だとプライバシーに関わる情報を公開しづらく立地も選べないので、新規顧客獲得に苦労する可能性もあります。見ず知らずの人を自宅に迎え入れるのはリスクもあるため、知人や紹介のみで行うことを想定している人には向いているかもしれません。
マンションと同じように、持ち家だからといって必ずしも開業できるわけではなく、地域ごとに「用途地域による制限」があるため事前に確認しましょう。
同居家族の協力や近隣の方への配慮も必要です。
都市計画法の地域地区のひとつ。用途の混在を防ぐことを目的としていて、住居、商業、工業など市街地の大枠の土地利用が13種類にわけられて定められています。
第一種低層住居専用地域 低層住宅のための地域です。
小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。第二種低層住居専用地域 主に低層住宅のための地域です。
小中学校などのほか、150㎡までの一定のお店などが建てられます。第一種中高層住居専用地域 中高層住宅のための地域です。
病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられます。第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅のための地域です。
病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。第一種住居地域 住居の環境を守るための地域です。
3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域です。
店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。 田園住居地域 住宅と農地が混在し、両者が調和して良好な居住環境と営農環境を形成している地域を、あるべき市街地像として都市計画に位置付け、 開発/建築規制を通じてその実現を図るため、住居系用途地域の一類型として、田園住居地域が創設。 近隣商業地域 まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。商業地域 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。
住宅や小規模の工場も建てられます。準工業地域 主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。
危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。工業地域 どんな工場でも建てられる地域です。
住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。工業専用地域 工場のための地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
用途地域について詳しくはこちらから(国土交通省のサイトに遷移します)>>>
ご自宅の用途地域は下記より調べられます。
オフィスビルや商業ビルの一部の区画を賃貸契約して営業します。
路面店や利用者が多い施設だと開業したことが認知されやすく、顧客も利用しやすいかもしれません。
ターゲット層に合わせた立地、外観、間取りといった内装まで自由にアレンジできますが、必要な設備が整っていなかったり、退去の際も原状回復が基本なので、内装工事費がかさみやすいです。
スタッフを雇ったり、部屋数を設けて本格的なサロンを経営したい方に向いているでしょう。
初期投資や維持費が大きい分、しっかりとした事業計画が必要です。
美容室の一角やエステサロンの空いている一部屋を借りる方法。
自宅サロンに次いで、リスク・初期投資ともに少ない開業方法です。
関連のある施設で間借りできれば、貸し手、借り手、顧客それぞれにメリットがあり、三方よしの状態を築けます。
レンタルサロンだと固定費がかからないので、赤字を避けることができ、固定客を増やす初期の段階で重宝するかもしれません。設備が整っている施設もあるので、初期投資も抑えられるでしょう。
副業や空いた時間だけ。開業にチャレンジしてみたいという方は手軽に始められます。
手軽に初めたいという方、必見!
エステティシャンの第一歩におすすめのスキルはこちら
たとえ店舗利用可能な物件であっても、事前に開業の意思を伝え相談しておくと安心です。
賃貸する場合は、まずは「事務所可」「商用利用可」「SOHO」といったキーワードで検索し、エステサロン開業の意思を伝えておくとスムーズです。
大家さん、管理会社、管理組合など関係者の理解を得て、気持ちよく付き合っていけるクリーンな状態で開業できるのが理想的。
不動産仲介業者などに任せっきりにしてしまうと、開業後にトラブルに発展する可能性があります。
など、契約条件の詳細を明確にするための確認事項をリストアップしておきましょう。
平成25年度から賃貸住宅の流通促進の一環として、国土交通省がDIY型賃貸借の普及に取り組んでいるようです。内装にこだわりたい方は大家さんに相談して「DIY型賃貸借契約」を結ぶか、「DIY可」「カスタマイズ可」の物件を探すのもひとつでしょう。
DIY型賃貸借契約とは(国土交通省のサイトに遷移します)>>>
付き合いが全くないと、些細なことでもトラブルに発展しかねません。
営業時間や間取りに合わせた家具の配置、会話のボリュームなどトラブルを避ける気遣いやお客様のご協力も不可欠ですが、日頃からあいさつをしたりしてコミュニケーションをとり、理解を得られる努力をしましょう。何らか迷惑をかけてしまった場合にも、直接、謝罪することもできます。
適度な距離を保ちつつマナーを守ることが大切です。
なども、入居前に確認しておくと良いでしょう。
サロン成功の鍵は「リピート率」にあります。
リピート率はサロンの売上に直結し、経営を安定させます。
大々的に宣伝できないマンションエステやマンパワーに限りがある個人サロンでは、大手やテナントのような薄利多売ではなく厚利少売が向いています。
「口コミもいいし、人気だけど紹介がなければ予約が取れないサロン」という地位を築き、単価を高くして売上や利益を伸ばしていく方法を目指しましょう。
一度来店された方に継続して通っていただくことができれば、紹介だけでも着実に顧客を増やせます。
お客様が利用しやすい環境、また来たいと思う仕組みをつくることが大切です。
ホームページやフォームも無料で活用できるものも普及しています。
Googleサービス、SNSともに多くの人が利用しているサービスの利用も検討しましょう。
フォレストエステティックスクールは、エステティシャンを目指す方へのスキル指導に加え、独立開業を目指す方のサポートも行っています。
夢への一歩を踏み出す方を応援するため、5,000店舗以上ある実績をもとに
といった、開業に必要な情報と成功するためのポイントをお伝えしています。
もちろん、マンションでエステサロンを開業された方の事例も豊富にございます。
スクール生に限らず、どなたでも気軽にご参加いただけるよう無料で開業セミナーを開催中。
開業のための情報調達、不安や疑問を解消する場として、ぜひご活用ください。
リスク、費用ともに抑えられるマンションエステ。
注意点を理解していれば、初めてサロンを開業する際に有効な手段になります。
最適な物件を見つけて理想のサロンを築きましょう!
フォレストエステティックスクールでは、物件の選び方はもちろん、開業後もお困りごとがあれば継続してサポートさせていただいております。初めての開業、お一人で開業される方の不安や疑問を少しでも取り除き、サロン様のパートナーとして寄り添っていければと考えております。
エステサロンの開業をご検討の方は、まずは無料の開業セミナーにご参加ください。
疑問や不安など、少しでもお役立てできるようであれば幸いです。
授業風景でわかること
その他美容に関する情報も発信しています。 ぜひご活用下さい!